おうちモンテに合う木のおもちゃの選び方:モンテッソーリ教育で育つ「お仕事」を家庭に取り入れる

おうちモンテに合う木のおもちゃの選び方:モンテッソーリ教育で育つ「お仕事」を家庭に取り入れる

はじめに

おうちモンテを始めたいけれど、どんなおもちゃを選べばいいのか迷っている方は多いのではないでしょうか。子どもの成長に合わないおもちゃを与えてしまうと、せっかくの「やりたい」という気持ちが続かず、おもちゃが部屋にあふれるだけになりがちです。

大切なのは、子どもの発達段階に合った素材と設計のおもちゃを、必要な数だけ用意することです。なかでも木のおもちゃは、おうちモンテとの相性がよい選択肢として知られています。この記事では、その理由や年齢別の選び方、環境づくりのコツまで順を追って紹介します。

おうちモンテと木のおもちゃの基本

おうちモンテと木のおもちゃの基本

おうちモンテの考え方と家庭での位置づけ

おうちモンテとは、モンテッソーリ教育の考え方を家庭で取り入れる実践のことです。モンテッソーリ教育では、子どもには「自分で学び、成長する力」が生まれながらに備わっていると考えます。大人の役割は、何かを教え込むことではなく、子どもが自分で取り組める環境を整えることにあります。

この教育で使われる道具は「教具」と呼ばれ、子どもが取り組む活動は「お仕事」と呼ばれます。教具は、五感や知的好奇心を刺激し、子どもが繰り返し集中して取り組めるように作られたものです(参照*1)。家庭でこうした教具やそれに近いおもちゃを用意し、子どもが自由に選んで活動できる場をつくることが、おうちモンテの基本的な考え方です。

木のおもちゃが合う理由

おうちモンテに木のおもちゃが合う背景には、素材がもつ感覚的な特性があります。文部科学省の調査では、木の家具に触れた子どもについて「気持ちが落ち着く」「教室の雰囲気がよくなった」という心理的な効果が報告されました。具体的には、香りがよい、感触がよい、ぬくもりや温かみがある、木目が目に優しい、空間が明るくなるなど、視覚・嗅覚・触覚にわたる多面的な効果が挙げられています(参照*2)。

モンテッソーリ教育は「本物」を子どもに手渡すことを大切にしています。教具に木製のものや高価なものが多いのは、この「本物」志向が理由です(参照*3)。プラスチックにはない重さや手ざわりの変化を通じて、子どもは自然と五感を使うことになります。こうした点が、おうちモンテと木のおもちゃの相性がよいとされる理由です。

モンテッソーリでよく言われるおもちゃの条件

モンテッソーリ教育の視点でおもちゃを選ぶとき、いくつかの条件が挙げられることがあります。まず、子どもの「敏感期」に合っていることです。敏感期とは、ある能力を伸ばしたいという欲求が特に強まる時期のこと。この時期に合った教具を用意すると、子どもは繰り返し集中して取り組みやすくなります(参照*1)。

次に、子どもが「自分でできる」設計になっていることも大切です。大人が手を貸さなくても遊びを始められ、やり終えたときに「できた」とわかる仕組みがあるおもちゃは、自分から学ぶ力を後押しします。さらに、シンプルで目的がはっきりしていることも条件のひとつです。音や光で注意を引くのではなく、子ども自身の手と目の動きに集中できるものが望ましいとされています。

発達段階別に選ぶ木のおもちゃとお仕事の例

発達段階別に選ぶ木のおもちゃとお仕事の例

0歳から1歳に合う木のおもちゃ

モンテッソーリ教育では、生まれたての赤ちゃんにも自分で学ぶ力が備わっていると考えます。0歳向けの教具としてよく挙げられるのは、モビール、玉落とし、ルーピングの3つです。好奇心をもって繰り返し取り組むうちに、手先の運動能力が少しずつ育っていきます(参照*1)。

木のおもちゃでこの時期に取り入れやすいのは、木製の玉落としやルーピングです。玉を穴に入れて転がす、ワイヤーに通されたビーズを指で動かすなど、動作がシンプルで結果が目に見える点がポイントになります。赤ちゃんが握る、つまむ、追いかけるといった基本の動きを繰り返せるものを選ぶと、お仕事として取り組みやすくなります。

1歳から2歳に合う木のおもちゃ

1歳を過ぎると、「つまむ」「はめる」「引っぱる」など手の動きが細かくなっていきます。この時期の子どもは、同じ動作を何度も繰り返すことに強い興味を示します。木の型はめパズルや、穴にペグを差し込むおもちゃは、手指の発達と集中力の両方を支えてくれます。

ドイツのGrimm’sは、ハンノキ、菩提樹、ブナ、カエデといったヨーロッパの持続可能な森林から調達した木材を使い、水性の無毒な塗料と天然オイルで仕上げた木のおもちゃを展開しています(参照*3)。こうした使い方が自由なデザインの木のおもちゃは、積む・並べる・色を分けるなど、子どもが自分で遊び方を見つけやすい特徴があります。敏感期に合わせて複数の使い方ができるものを1つ用意すると、長く活躍します。

2歳から3歳に合う木のおもちゃ

2歳を過ぎると、指先の動きがさらに精密になり、「順番に並べる」「大きさを比べる」といった思考をともなう遊びに関心が向きます。木製の円柱さしや、数の棒など、モンテッソーリの感覚教具に近い木のおもちゃがこの時期に合います。大小や長短を自分の手で確かめながら正しい場所に戻す動作が、論理的な考え方の土台になります。

文部科学省の調査では、木製の家具や道具は傷つきやすく壊れやすいという声がある一方、だからこそ「ものを大切にする心を育てる」という教育効果を期待する意見も聞かれました(参照*2)。2歳から3歳は、道具の扱い方を覚え始める時期でもあります。木のおもちゃを丁寧に使う経験は、お仕事への集中と物への敬意を同時に育てるきっかけになります。

失敗しない選び方と環境づくり

失敗しない選び方と環境づくり

安全性と素材のチェックポイント

木のおもちゃを選ぶとき、まず確認したいのが安全性です。従来のプラスチック製品にはBPAやフタル酸エステルなどの化学物質が含まれている場合があります。木のおもちゃでも塗料や接着剤の安全性は見落とせません。水性の無毒な塗料と天然由来の仕上げを使っているかどうかが、ひとつの判断基準になります(参照*3)。

国際的な安全基準として、EN71という規格があります。1988年に制定されたこの規格は、Part1からPart13に分かれています。なかでもPart3は、おもちゃに含まれる重金属が接触や誤飲によって健康に影響を与えないかを確認する試験です(参照*4)。購入時には、FSC認証の木材を使っているか、EN71などの安全基準をクリアしているかをパッケージや商品説明で確かめてみてください。

収納と提示のしかた

おうちモンテでは、おもちゃの「提示」も大切な要素です。提示とは、子どもの目の前でゆっくり使い方を見せることを指します。言葉で説明するより、動作をていねいに見せるほうが、子どもは自分でやり方をつかみやすくなります。

収納は、子どもが自分で出し入れできる高さの棚に、同じ種類のものをまとめて置くのが基本です。おもちゃを整理して大人も子どもも手に取りやすい状態にすると、子どもは「自分でできる」という感覚を得やすくなります(参照*5)。棚の上に並べるおもちゃは3つから5つ程度にしぼり、余白をもたせると、子どもの目移りを防げます。

買いすぎないための運用

モンテッソーリ教具は高価なものが多く、一般的なお店では手に入りにくい場合があります。さらに、敏感期に応じて教具を替えていく必要があるため、コストだけでなく収納や置き場所にも困りやすい点が課題です(参照*1)。

買いすぎを防ぐには、棚に出すおもちゃの数を決めておくことが有効です。子どもが飽きたと感じたタイミングで棚のおもちゃを入れ替え、しばらく使わなかったものは箱にしまっておきます。入れ替え式にすると、同じおもちゃでも久しぶりに出したときに新鮮な興味が戻ることがあります。新しいものを買い足す前に、手持ちのおもちゃで入れ替えができないかを先に検討するだけで、出費と物量を抑えやすくなります。

購入以外の選択肢と実例

購入以外の選択肢と実例

手作りで取り入れる

おうちモンテの教具は、必ずしも購入する必要はありません。子どもの「やりたい」に合わせて、家にあるものや100円ショップの材料で手作りすることもできます。たとえば、赤ちゃんがママの服のひもを引っぱったり、電気コードを気にする姿が見られたら、それは「引っぱる」という運動の敏感期のサインかもしれません(参照*1)。

このような場合、リボンやひもを箱に通して引っぱれるようにするだけで、立派なお仕事道具になります。手作りのよさは、子どもの興味にぴったり合わせてサイズや難易度を調整できるところです。子どもの様子をよく観察し、今どんな動きに夢中なのかを見極めてから作ると、手作り教具の効果がぐっと高まります。

レンタルやサブスクを使う

木のおもちゃは購入すると1点あたりの価格が高くなりがちです。敏感期ごとにおもちゃを替えていくことを考えると、レンタルや定額制のサービスも選択肢に入ります。毎月または隔月で届く木のおもちゃを使い、子どもの反応を見ながら合うものだけを残す方法は、買いすぎの防止にもつながります。

レンタルでも、安全性に配慮した木のおもちゃを選ぶことは可能です。タイ発のPlanToysは、ゴムの木からラテックスが採れなくなった木を1981年からおもちゃに再利用しているメーカーです。水性の無毒な塗料とホルムアルデヒドを含まない接着剤を使い、小さな子どもにも安全な設計を徹底しています(参照*3)。こうしたメーカーの木のおもちゃを扱うレンタルサービスを活用すれば、品質と安全性を保ちながらコストを抑えることができます。

おうちモンテ実践例から学ぶ

林野庁は「木育(もくいく)」の取り組みとして、木のおもちゃに触れる体験や木工ワークショップなどの活動を全国で推進しています。行政・木材関連団体・NPO・企業など幅広い連携のもとで、指導者の養成やネットワークづくりも進められています(参照*6)。

こうした木育活動に参加した保護者の振り返りでは、身近な生活に木を取り入れたいという意見が7割以上を占めました。乳幼児の保護者は子育てへの意識が強く、木のおもちゃや木質空間、自然体験を通じて、子ども以上に保護者自身が木の良さを再発見する場にもなっています(参照*7)。地域の木育イベントに参加して実際に木のおもちゃに触れることは、おうちモンテに取り入れるおもちゃを見極める実践的な方法のひとつです。

おわりに

おうちモンテで木のおもちゃを取り入れるポイントは、子どもの発達段階に合ったものを選ぶこと、安全な素材を確認すること、そして数を絞って環境を整えることの3つです。高価な教具をそろえなくても、手作りやレンタルを組み合わせれば、無理なく始められます。

まずは子どもが今どんな動きに夢中なのかを観察するところから始めてみてください。子どもの「やりたい」に合った木のおもちゃがひとつ棚に並ぶだけで、おうちモンテの第一歩は踏み出せます。

参照

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